「就業規則が合理的なものであれば、労働者はその適用を受ける」とされています。
そのことを以下の判例にてご紹介します。

○ 元来、「労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである」(労基法第2条第1項)が、多数の従業員を使用する近代企業においては、労働条件は、経営上の要請に基づき、統一的かつ画一的に決定され、従業員は、経営主体が定める契約内容の定型に従って、附従的に契約を締結せざるを得ない立場に立たされるのが実情であり、この労働条件を定型的に定めた就業規則は、一種の社会的規範としての性質を有するだけでなく、それが合理的な労働条件を定めているものである限り、経営主体と従業員との間の労働条件は、その就業規則によるという事実たる慣習が成立しているものとして、その法的規範性が認められるに至っているものということができる。
就業規則は、当該事業場内での社会的規範たるにとどまらず、法的規範としての性質を認められるに至っているものと解すべきであるから、当該事業場の従業員は、就業規則の存在及び内容を現実に知っていると否とにかかわらず、また、これに対して個別的に同意を与えたかどうかを問わず、当然に、その適用を受けるものというべきである(秋北バス就業規則改正事件:最高裁大、昭43.12.25)。

○ 労働条件を定型的に定めた就業規則は、一種の社会的規範としての性質を有するだけでなく、その定めが合理的なものである限り、個別的労働契約における労働条件の決定は、その就業規則によるという事実たる慣習が成立しているものとして、法的規範としての性質を認められるに至っており、当該事業場の従業員は、就業規則の存在及び内容を現実に知っていると否とにかかわらず、また、これに対して個別的に同意を与えたかどうかを問わず、当然にその適用を受けるというべきである。
また、就業規則が従業員に対し、一定の事項につき使用者の業務命令に服従すべき旨を定めているときは、そのような就業規則の規定内容が合理的なものである限りにおいて、当該具体的労働契約の内容をなしているものということができる(帯広電報電話局 事件最高裁1小昭61313)。