法令及び労働協約との関係(労働基準法第92条)

就業規則1)は、法令2)又は当該事業場について適用される労働協約3)に反してはならない。
行政官庁は、法令又は労働協約に抵触する就業規則の変更を命ずることができる7)

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1)就業規則

本条にいう「就業規則」とは、既に述べたように第八九条の規定により就業規則を作成する義務がある常時一○人以上の労働者を使用する事業場の就業規則のみならず、就業規則作成義務のない常時一○人未満の労働者を使用する事業場の就業規則をも含むものと考えられる。

2)法令

「法令」とは、法律、政令及び省令をいうものである。

3)労働協約

「労働協約」とは、労働組合法第一四条にいう「労働組合と使用者又はその団体との間の労働条件その他に関する」合意で、「書面に作成し、両当事者が署名し、又は記名押印したもの」をいう。
「当該事業場について適用される労働協約」とは、各事業場ごとに労働協約が締結されていれば、その労働協約をいうことはいうまでもないが、もし、当該事業場の労働組合が加入している上部団体等の労働協約が当該事業場について適用されていれば、その労働協約も含むと解される。

7)本条違反

変更命令が出されたにもかかわらず使用者がこれに従わなかったときは、三○万円以下の罰金に処せられる(第一二○条第三号)。変更命令に基づき変更手続をとってもこれを届け出ないときは第八九条に、また、その変更に当たり労働組合又は労働者の過半数を代表する者の意見を聴かないときは第九○条に違反することはいうまでもない。

出所
労働基準法 (労働法コンメンタール) 厚生労働省労働基準局編