一流の人は本気で怒る 小宮一慶 文春新書

□ ・・・なぜ、私がこの本を書こうと思ったかというと、成功している人は、本気で怒るということに気づいたからです。

□ ・・・正しくない考え方に基づいた怒りは避けるべきものですが、適切な対象に対して、正しい考え方や信念に基づいて発する怒りは決して否定するものではなく、むしろ、望ましいものなのです。社会をも変える力があるのです。

□ ・・・どうすれば、「正しい考え方」を得ることができるのでしょうか。私は、「正しい考え方」を身に付けるには、昔から読み継がれてきた古典を読むことが一番だと考えています。『論語』でも、聖書でも、仏教の本でもいい。何千年もの間、人々が正しいと思ってきた考え方をまず勉強すべきです。

□ 稲盛さんは仏教の勉強をされていたから、考え方のべースは仏教だと思います。ですが、儒教でも、キリスト教でも、言っていることは根本的には同じです。私利私欲を捨てて、社会のために働きなさいと説いている。

□ 自分が正しいと信じることや、理想とするものがあればブレることはない。部下にしてみれば、どういうときにリーダーが怒るか分かるので、「これをやったら、たぶん怒るだろうな」と予測することができます。
松下幸之助さんならば、お客さまや社会のためにならないことをしたり、手を抜いた仕事をしたら激怒したのではないでしょうか。それは松下さんの信念に反することだからです。そして松下電器の社員たちはそれを分かっていた。
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・・・仕事に対しては厳しく、人に対しては優しく、そしてぶれない――怒りの基準がハッキリしたリーダーを目指すべきです。

□ ・・・真のリーダーは怒ります。ですが、褒めてフォローすることも忘れません。
相手のダメなところは叱り、良いところは褒める――それができなければリーダーは務まらない。部下の長所を探し、そこを褒めて伸ばすことが組織を強くしていくのです。
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・・・怒るのが上手なリーダーは本気で怒って、本気で褒めるのです。相手の悪いところは悪いと言い、良いところは素直にそれを認めて褒める。
「本気」を伝えることをためらってはいけません。恥ずかしがってはいけません。
本気でメッセージを伝えなければ、人は伸びも育ちもしません。信頼も得られません。

 すごい!ホメ方 内藤誼人 廣済堂文庫

⇒「ほめる」 本の紹介  で紹介した本と同じです。

□ 自分でも感情をもてあますほど怒っているときには、相手を叱ってはいけません。なぜかというと、怒りの言葉を口にすればするほど、ますます興奮していくからです。
はじめは軽く注意するつもりだったのが、次第に感情がエスカレートしてしまい、「何度、同じことを言わせんだよ、このバカ」と侮蔑の言葉を吐いてしまうことも、珍しくありません。感情をコントロールできないうちには、絶対に叱ってはいけないのです。
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では、本当に怒りたくなったときには、どうすればいいのでしょうか。
それには、その場を離れてしまうに限ります。
たとえば、部下を叱りたくて、叱りたくて、どうしょうもなくなったときには、臨界点に達する前に、自分からその場を離れて、トイレに行くなり、どこかで一服するなり、紅茶でも飲むなり、別の仕事をしてみるなり、をしたほうがいいのです。
激情に駆られて、叱り出してはいけません。必ず怒りがエスカレートして、とんでもない結果を招くに決まっています。

□ 「“整理整頓”できないヤツは、ダメだ」
「“約束の時間”だけは、守れ」
というように叱るようにしましょう。相手にとってみると、叱られたということで、いい気分にはならないでしょうが、少なくとも、自分の“すべて”を叱られたわけではありませんので、まだしも救いがあります。

絶妙な「叱り方」の技術 藤崎雄三 明日香出版社

□ ・・・人を叱る際に気をつけたい基本姿勢として重要なのが、相手を追いつめすぎないようにすること。
相手を懲らしめることが叱る目的ではない以上、叱ることで部下や後輩を精神的に潰してしまっては、何の意味もありませんよね。
でもこのストレス時代に、こちらが思っているより「脆い」もしくは繊細な心を持ち、傷ついて立ち上がれなくなる若い人々が増えているのは、周知の事実。
いともたやすく、人は心理的に「追いつめられて」しまうのです。
厳格さのみを前面に出し、部下を辞めさせたり、うつ病にしたりするような上司は、人事考課では全く評価されません。
何よりも、メンバーが急に辞めたり、欠勤したりするようになれば、他のメンバーやリーダーであるあなた自身の負担も増え、グループとしてのパフォーマンスも下がります。あなたにとって、何ひとつ得になるようなことはありません。

□ 効果的な叱り方の秘訣は、「コンパクト&インパクト」に尽きます。簡潔なんだけれども印象に残る、ということを常に意識して叱ることが大事です。形容詞や説明を付けすぎない。

□ 相手に「もうやってられません!」という不満があるからこそ、「じゃあ、どの部分がやってられないんだ?」という問題点の洗い出しが可能になるわけです。
若手の反論は、時に独善的で論理が破綻していたり、思わず感情的に反応してしまいそうですが、「それは問題解決のヒントだから」と、グッと堪えましょう。
反論や不満は、次のステップにつながる「半歩なのです」。

□ ・・・ある程度、有無を言わせないような叱り方も必要になってきます。
会社のルールであれば、社員は受け入れるしかありません。そこで新入社員の学生的発想から来る「正論」的な反論を聞いてもあまり意味がありません。