
- すべての業務を自社で抱え込み、生産性の低い、競争力のない部門の改善に手間をとられていたのでは始めから勝負にもなりません。どの企業にも得意な分野と不得意な分野があるでしょう。得意な分野に集中して企業努力と資本を投下し、不得意分野は外部に任せる。狭い領域であっても得意分野を更に伸ばして、「○○のことならあの会社に頼まなければ」と言われる企業になる方が、不得意分野克服型の企業よりも望ましい時代になったということです。
- 現在、日本の人件費は世界一高くなっています。
間接部門などでは生産性の低さがかねてより指摘されています。人件費が高いにも関わらず、生産性は低いわけですから、そこに必ず問題が生じます。人件費はその性格上、伸びを抑えることはできても極端に引き下げることはできませんから、業務の生産性を上げて、コストに見合うだけの成果を実現していくしかありません。生産性を上げるために多額の教育研修費を使ったり、巨額の情報化投資を行うのでは、上手くいかなかった場合にはかえってコストアップを招くことになってしまいます。更に、その生産性を上げるために要する時間が問題です。生産性向上に取り組んでも、実際に成果が出るのが2年後や3年後では、時代の変化についていけない可能性もあります。アウトソーシングは生産性向上のための手段ですが、単なる生産性の向上ではありません。投資コストを抑えながら、短期間で生産性を上げるためのものです。そして何よりも業務品質の向上を同時に実現しようとするものなのです。今一度、自社の社員がその人件費に見合うだけの仕事をしているか、人件費に見合うだけの付加価値を上げているかをチェックしてみて下さい。
例えば、中小企業では経理担当者がなかなか育たないのです。なぜ、一般の企業では経理担当者の育成が難しく、会計事務所だと可能なのでしょうか。それは専門だからです。その道のプロとしてやっていこうと考えているからです。税理士資格を目指して自発的に勉強しているからです。この専門の人材を活用するのがアウトソーシングです。経理事務まで代行するアウトソーシング会社も増えています。一般企業のベテラン社員よりも安い人件費でよりスキルの高い人材を確保し、それを複数社でシェアし合う(コスト負担を分担する)わけですからコストメリットと業務品質の向上を同時に実現できるわけです。
これまで多くの中小企業では、いないと困るという理由だけで固定費を負担してきたのです。是非アウトソーシングするべきです。間接部門は専門の業者に勝てません。直接部門すなわちその企業の核となる業務においては優秀な人材を確保することは可能でしょうし、その育成もできるでしょう。ただ安ければいいと考えるのなら自社で抱え込むことも可能かもしれませんが、より以上の成果を上げることは難しいでしょうし、成果に連動しないコスト上昇圧力に悩まされることになってしまいます。
- コア・コンピタンスとは、「他社には真似できないような利益を顧客に提供できる自社ならではのスキルやノウハウ」のことを言います。コアとは言うまでもなく、核のことであり中核となるという意味です。コンピタンスとは競争上の卓越性や有能性を意味し、「自社の中核的な価値」「自社ならではの価値を実現する卓越性」と理解すれば良いでしょう。自社が存在し、顧客に満足を与える根源であるコア・コンピタンスを見つけ出し、更に磨きをかけながら、その他の業務についてはアウトソーシングによって処理しようというわけです。反対に、コア・コンピタンスの価値を継続的に高め、その優位性を維持し続けるためには大きな努力と経営資源の投入が不可欠ですから、コア・コンピタンス以外の業務についてはアウトソーシングしなければ、高い業務品質を維持できないということにもなってしまいます。アウトソーシングによって企業の成長発展や革新を実現していくためには、コア・コンピタンスの確立とそのブラッシュアップという戦略的な取り組みが同時に行われなければならないのです。戦略的な検討がないままアウトソーシングを行うということは、その目的は単なるコストダウンであったり業務の改善というレベルに留まることになります。
経営資源に限りのある中小企業が、時間をかけて経営資源を蓄積したりすることなく外部の「資源を活用することがアウトソーシングです。小規模であっても外部の資源を活用して大きなビジネスにしていくのがアウトソーシングです。不得意なことを無くそうとせずに得意なことに的を絞ってコア・コンピタンスを磨いていくことがアウトソーシングです。
- 会社を経営する者としてアウトソーシングにメリットを感じるのは、リスクヘッジです。リスクの最小化と言った方が良いかもしれません。新しい事業を立ち上げたり、既存の事業であっても追加の投資を意思決定するのは難しいことです。全てがうまくいくとは考えにくいのが現実です。ではおとなしくこれまでやってきたことを何の新しい取り組みもなく継続していけば良いのかというと、そういうわけにもいきません。環境変化に合わせた挑戦や投資が必要です。そんな中、私が一番困るのは、人材への投資です。採用費から教育費、もちろん月々の人件費と、中小企業にとってはばかにならない額の投資を行うことになります。確実に成長してくれて、成果を出してくれれば良いのですが、その保証はありません。機械などなら一定のパフォーマンスが保証されますし、クレームを持っていく所もありますが、社員にクレームを言っても給料は返してくれません。こういう時、アウトソーシングは助かります。とりあえず変動費で様子を見ることができます。駄目なら契約を打ち切れば良いですし、上手く行けばそこから内製化して固定費にしても良いのです。先に挙げた経営のスピードもさることながら、リスクを小さくできることが経営者の実感としては大きいかもしれません。日本経済はますます成熟化し、既存の事業だけでは頭打ちになることが多いだけに、新しい取り組みが企業には求められます。事業にはリスクがつきものですが、なるべくそのリスクは小さくしたいものです。アウトソーシングは新規事業の立ち上げ時に大きな価値をもたらすものです。
- アウトソーシングのメリット
- 仕事に意義を見出すことができる
- コストの削減
- 経営のスピードアップ
- 業務品質の向上
- 社長にNOと言える
- コア・コンピタンスへの集中
- リスクヘッジ
アウトソーシングのデメリット
- 社内ノウハウが蓄積されない
- 移行コストが生じる
- 落ちこぼれ社員の発生
- コミュニケーションギャップの発生
- 個人だけ得をして会社が損をするという関係は長続きしません。反対に会社だけが得をして個人が損をするという関係も長続きしません。そんなことをしてしまえば、優秀な人からその会社を去っていくことになり、会社にとってはマイナスの結果となるからです。この全個一如(全体の中に部分があり、部分の中に全体がある。会社と個人は分けることはできない。)がしっかりと理解されなければ、アウトソーシングも同様に良好な関係で維持することもできません。
このことは、コア人材を見分けるためにも重要で、全個一如を理解し、会社のことを自分のことのように考えることのできる人材がコア人材です。単に能力があるというだけではコア人材になれません。アウトソーシングが盛んになるということは、能力は金で簡単に手に入るようになるということですから、単に能力がある人間と、能力が高くてなおかつ、全個一如も理解できる人間とを混同しないように気をつけなければなりません。
- アウトソーシングに適した業務
- 定型反復型の業務
- 時期によって繁閑の激しい業務
- 24時間対応の業務
- 社内秘の情報を扱う業務
- 専門知識や資格が不可欠な業務
- 人材の育成(採用)に時間がかかる業務
- 多大な設備投資が必要な業務
- 技術進歩・規格変更の激しい業務
- 給与水準に差をつけたい業務
- 創造的な、個人のセンスに左右される業務
- ※ 上記の内容は、
会社を強くするアウトソーシングの進め方
長尾一洋 著、且タ務教育出版 発行
によります。とても、参考になる本です。機会があれば購入してみてはいかがでしょうか。
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