プロが教える「ほめ言葉」 大嶋利佳 阪急コミュニケーションズ

□ ・・・ほめ言葉・・・、人の心を明るくし、やる気を出させ、幸せな気持ちにさせる力が潜んでいます。

□ 仕事柄さまざまな会社に足を運ぶことが多いのですが、業績のいい会社、伸びている会社を見ると、社員はみな生き生きと働いている様子が見て取れます。
社内の雰囲気は、全体的に明るい感じがすることは言うまでもありません。
こういう会社の社員は、上司が部下をよくほめ、部下は部下で、同僚とほめ合っていることが多いのです。必然的にお互いの言葉かけが多くなって、豊かなコミュニケーションが築かれています。

□ 部下やまわりの人をほめることのできる人間になるということは、他人を認め、受け入れ、許容できる部分が広がるということですから、人間的に大きくなる、成長するということでもあります。
人間的に大きな上司は、部下から慕われ、尊敬されることは言うまでもありません。つまり、部下やまわりの人をほめていくことで、部下から尊敬され、「この上司のためならがんばれる」という部下がどんどん増えていくというわけです。
人をほめることで相手が成長し、自分も成長する――ほめ言葉には、そんな素晴らしい効果が潜んでいるのです。

□ 長所や成長に気づいたらほめる
どんな部下でも、必ずいいところを持っています。
ちょっとした小さなことでも、長所は長所。そこに気づくかどうか、そこをほめるかどうか、それが部下の成長にかかわってきます。
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「さっき笑ってたけど、キミは本当に笑顔がいいね。パッと花が咲いたような感じになったよ。あんな笑顔で応対されると、お客様もさぞ喜ぶだろう」
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「キミはえらいなぁ。人から言われなくても自分から率先して学ぼうとするんだから。見直したよ」
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こういう例を見てもわかるように、部下のちょっとした長所、ちょっとした成長を上司が見過ごさずにほめると、部下は自分から伸びていこうとします。

□ 少しだけ大人になることが大事
大人になるといっても、大人目線で上から見下ろすというのではなく、成長途上にある部下を温かい目で見守ると言ったほうがいいかもしれません。
赤ちゃんが、一歩、二歩、三歩と歩けるようになったとき、お母さんやお父さん、あるいはまわりの大人たちは、
「すごい、すごい!」
と、ほめるでしょう。
大人からしてみれば、歩くという動作は意識しないでもできる当たり前のことですが、赤ちゃんにとっては大変な作業であることは言うまでもありません。
「まだ小さいのだから、歩くのも大変だろう」
こういう、子どもを見守るような気持ちを持つと、これまで当たり前に思えていたことが、部下の長所、成長点として見えてくるはずです。
ほとんど遅刻しない部下がいるとします。
会社に遅刻しないのは社員として当たり前のことかもしれません。しかし、体調の悪いときもあれば、朝寝坊するときだってあるでしょう。それでも遅刻しちゃいけないと思ってがんばって会社に来ている。もしかしたら電車に間に合うように駅まで走ったことが何度かあったかもしれません。
そんなことが想像できたら、遅刻しないことがほめられる部分として浮かんできます。
「キミは遅刻がないな。なかなかできないことだよ」
こんな、ほめ方ができると思います。
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・・・大人になれない上司の場合は、部下が当たり前の、いえ、当たり前以上の成果を出してもそれを認めることができず、無視してしまうことがあります。
たとえば部下が一日に三件の契約を取ってきたとします。大きな成果を上げたわけですが、大人になれない上司は、ほめることができません。
「それぐらい当たり前だろう。おれが若いころは、一日五件取ってきたこともあったんだ」
こんな意識があるからです。
自分の実績を超えるぐらいの成果を見せないと、こういう上司の場合は部下をほめられないのです。これでは、部下はやりがいをなくしてしまいます。
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こういう例を見てもわかるように、ちょっとだけ大人になって部下を見る、今よりちょっと温かい目でまわりを見るということは、とても大事なことなのです。
「うちの上司は、ほんとに大人だなぁ」
そんな評価を受けるのは、「自分にとって当たり前のことでも、部下にとっては当たり前ではないかもしれない」という意識を持った上司であることは間違いありません。

□ 順調さもほめどころのひとつ
「相変わらず一生懸命でいいねぇ」
ふだんと変わらない仕事への姿勢をほめることもできます。
順調さというのも、それを当たり前のように感じていると、なかなか気がつかない点です。
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健康であることを当たり前と思わなければ、感謝の念が出てくるものです。それと同様に、順調であることを当たり前と思わなければ、それをいいことだと受け止められるでしょう。だとしたら、その順調な部分をほめることもできるのです。

□ 自分自身にない長所を探す
「そういうところは、ぼくも見習わなくちゃいけないなぁ」
自分にない優れた点を部下の中に見いだしたら、ほめてあげる。しかも、さらりと言ってのける。そんなカッコイイ上司になっていただきたいと思います。

すごい!ホメ方 内藤誼人 廣済堂文庫

□ 挨拶はホメ言葉の代わりになる!
挨拶を自分からすることで、あなたのことを尊敬しているんですよ、あなたのことを忘れていませんよ、あなたのことを大切に思っているんですよ、という気持ちを伝えることができます。つまり、ホメ言葉を使うのと、同じ効果があげられるのです。
・・・挨拶をすると、歓迎のムード、あなたといると楽しい、という雰囲気を伝えることができるのです。
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また、挨拶するときには、相手の目をみつめながら、元気に、陽気に、声をかけるようにしましょう。目を伏せた状態で、モゴモゴと挨拶しても、相手は気づいてくれませんし、「本当は挨拶したくないんだけど、仕方ないから、挨拶してやったんだ」と誤解されてしまう危険もあります。

□ ・・・どんなホメ方でも間違いはない
あまり難しいことを考える必要はありません。あなたが気づいた相手の長所は、どんどん指摘してあげてください。
1つの点をホメてくれる人と、10個の点をホメてくれる人がいるとすると、私たちが好きになるのは、絶対に後者。私たちは、ホメてくれれば、ホメてくれるほど、うれしいものなのです。
本書では、いろいろと小難しい技法についても考えてきました。しかし、最後になってこんなことを申し上げるのは恐縮なのですが、そういうものは、頭から取っ払ってくださってもかまわないわけです。「ホメるのに正解はない」ということを認識くだされば、それでOK。いいんですよ、どんなことを口に出しても。あまり考えすぎないでください。
どの足から踏み出すかを考えたばかりに、一歩も動けなくなったというムカデの話をご存知でしょうか。何も考えなければ問題はなかったのに、「俺はどの足から踏み出すんだっけ?」などと余計なことを考えると、ムカデは動けなくなった、という話です。これは私たちの行動にもあてはまります。自然体でいれば、相手をホメることができるのに、余計なことを考えすぎると、かえってできなくなるのです。

□ ホメ言葉を誤解されたときの取りつくろい方
どんなメッセージでも、相手によっては誤解して受けとられる危険性がないわけではありません。
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「口が達者だね」という言葉も、受けとり方によっては、「口先だけのヤツ」と誤解されることもあります。
これらのようにホメ言葉を誤解されたときには、どのように対応すればよいのかを考えてみます。
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少しでも相手の顔色が悪くなったと思ったら、
「ひょっとして、失礼を申し上げてしまいましたか。私は○○○と述べたかったのですが」
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などとフォローしておきましょう。フォローがうまくいけば、相手もそれほど怒ることはありませんし、納得してくれるものなのです。
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相手の顔色の変化を見ていると、相手が誤解しているかどうかもわかります。喜色が浮かんでいれば、何も問題ありませんが、怒りや悲しみの表情が浮かんだとしたら、そこには必ず誤解が生じているもの。そういう誤解は、その場でフォローしてくださいね。

心をひらく「ほめグセ」の魔法 西村貴好 経済界新書

□ ・・・「うちにはろくな人間がいない」とグチっていた経営者が、ほめることによって人が変わり、成長するのを見ると、「人間はすごい」と思うようになります。

□ 経営者やリーダーのまわりには、実はダイヤの原石がたくさん転がっているのです。それを石ころだと思うか、ダイヤの原石と信じるかが分岐点になります。
ほめる時には、信じることが一番重要です。少しでも光っているところを見つけて磨き、スポットライトを当てるのが「ほめ達」です。
すると、原石が、いきなり輝き始めます。
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経営者やリーダーが本当にするべきことは、まわりの価値に気づくことです。自分の力などたかが知れていると気づき、自分のまわりにはダイヤの原石がたくさんあることに気づくのです。そして、原石の価値を発見し、伝え、磨いてあげるのがリーダーの役割です。

□ 人は必ずしも大げさにほめられたいのではないのです。まずは、自分が誰かの役に立っていることを知りたいのです。人間は誰かに感謝されたい生き物なのです。
「いつもありがとう」
感謝の気持ちを伝える、とてもいい言葉です。これに事実をプラスすると、さらによくなります、「事実プラス感謝」の形にするのです。
「いつも○○してくれてありがとう」
相手の心に柔らかく入っていきますし、こちらもありがとうと言いやすくなります。

□ ほめることによって相手のモチベーションはたしかに上がります。ただ、モチベーションの上げっ放しは罪です。上がったモチベーションの使い道を教えてあげる。これが非常に重要です。「君はこういうことをがんばって、こういうことできるようになったよね、次こういうことがんばってみよう、次にこういうことに挑戦してみよう」というふうに、次のステップを用意してあげる。

□ たとえ自分が「ほめ達」でも、あるいは「ほめ達」が重要だとわかっていても、その能力や認識を一気に失う場合があります。それが、数字を見た瞬間です。
私自身も会社を経営しているので、それを自覚しています。経営上のあまりよくない数字を見た瞬間、ほめる力のすべてを奪われます。そして、アラ探し、犯人探しが始まります。「あいつら知恵を出してない」「努力も工夫もしていない」「誰に責任があるんだ」などというマイナスの動きがいっせいに始まるのです。
そんな時はどうすればいいのでしょうか。
まず、数字を見ると、誰でもプラスの気持ちがマイナスになってしまうということを自覚しておくことです。そして、「今、数字を見たからマイナスの気持ちになってしまっている。でも、大事なことは相手をぺちゃんこにすることじゃなくて、結果を変えることだ」と考え直し、冷静な自分に戻ろうとすることです。
人間的にできている人とは、感情の動かない人ではありません。感情からのリカバリーが他の人よりほんの少し早いだけです。冷静になると犯人探しではなく、結果を変える具体的な行動へのヒントや指示が生まれます。

あたりまえだけどなかなかできない ほめ方のルール 谷口祥子 明日香出版社

□ ・・・まずはあなた自身をほめてあげて下さい。自分という存在を認めてねぎらうことができていてこそ、初めて人のことを認めることができるのです。
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自分を認め愛していてこそ、他人を認め愛することができるのです。自分がお金を持っていなければ、人に分け与えることができないのと同じことです。
1日の始まりには「○○さん、今日も笑顔が素敵だね!」と鏡に向かって自分をほめ、そして1日の終わりには「○○さん、今日もよくがんばったね!」と自分をねぎらいましょう。
毎日ポジティブな言葉を使って自分をほめていると、自己イメージが上がりポテンシャルが引き出されます。すると仕事や人間関係にプラスの効果が生まれ、どんどんあなたの輝きに磨きがかかります。
人は、より魅力的な人や優秀な人からほめてもらった方がうれしいもの。あなたが自分をほめることで、あなた自身の魅力が高まり、あなたにほめられたいと思う人が増えていくのです。
毎日自分をほめ、そして自分を支えてくれている周りの人々に感謝しながら生きていると、いいほめ言葉が自然に口から出てくるようになるでしょう。

□ 「プラスのレッテルを貼る」という方法は、相手の欠点を指摘して改めてもらうよりも、よっぽど効果的な方法だなぁ、と実感しました。
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例えばお店のアルバイトの女の子が不愛想で、店長が困っていたとしましょう。店長が彼女の接客態度を改めるのにいい方法は「もっと笑顔で接客しなさい」と言うよりも、ほんの一瞬の笑顔をとらえて、「いい笑顔だね!その調子でがんばって」と言う方がずっと効果的なのです。