就業規則の作成の手続(労働基準法第90条)

使用者は、就業規則1)の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者3)の意見を聴かなければならない7)
使用者は、前条の規定により届出をなすについて、前項の意見を記した書画5)を添付6)しなければならない。

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1)就業規則

本条の「就業規則」は、次条以下の場合と同様に就業規則一般をいうようにも解されるが、本条第二項が意見書の添付を義務づけているのは「前条の規定により届出をなすについて」である点からみて、本条は前条を受けた規定と解するのが正当であろう。したがって、本条にいう「就業規則」は、就業規則一般をいうのではなくて、常時一○人以上の労働者を使用する事業場における就業規則と解すべきである。

3)労働者の過半数を代表する者

「労働者の過半数を代表する者」とは、当該事業場の全部の労働者の過半数を超える者によって代表者とされた者をいう。
労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない場合としては、当該事業場に労働組合がない場合のほか、一つの労働組合があっても労働者の過半数が加入していない場合及び二つ以上の労働組合があっていずれの労働組合にも労働者の過半数が加入していない場合がある。

5)意見を記した書面

本条に規定する意見を記した書面は、施行規則第四九条第二項の規定により、労働者を代表する者の署名又は記名押印のあるものでなければならない。

6)添付

使用者が意見を聴いたと認め得るのに十分な手段を尽しているにもかかわらず、場合によっては、労働者代表がその意見を表明することを故意に拒み、又は本条第二項に規定する意見を記した書面の提出を拒み、若しくはその書面に署名ないし記名押印をしないことがある。解釈例規には、このような場合について、「就業規則の作成、届出及び受理については、施行規則第四九条に示してあるが、労働組合又は労働者の過半数を代表する者の意見書に労働者代表の署名又は記名押印がないことを理由として受理しない向もあるようであるが、労働組合が故意に意見を表明しない場合又は意見書に署名又は記名押印しない場合でも、意見を聴いたことが客観的に証明できる限りこれを受理するよう取扱われたい。」(昭二三・五・一一 基発第七三五号、昭二三・一○・三○ 基発第一五七五号)としたものがある。

7)本条違反

使用者が本条に違反して労働者の団体的意見を聴かずに就業規則を作成し、又は変更すると、三○万円以下の罰金に処せられる(第一二○条第一号)。

出所
労働基準法 (労働法コンメンタール) 厚生労働省労働基準局編